一番近くに君が居る


メイド服の持つ妙な雰囲気とその短いスカートがふわりとするのを見ると、直哉はそう思わざるを得なかった。そしてそれを着ていないココに心の中でホッとしつつ、またココへと視線を戻す。うんうん。ウサギの着ぐるみでもココは十分可愛い。


最近ココに会う機会がめっきりと減り、すっかり遠くから眺める事しか無くなったココの姿。自ら提案した事とはいえ、正直淋しくて仕方ない。最後にココと話したのはいつだっけ…なんて考えてみても思い出すのは挨拶ぐらいで、会話という会話はあの日以来一度もしていなかった。それもそうだ、距離を置こうと言ったのは自分だ。

直哉は、「はぁ…」と溜息をついた。早くスッキリしたいと思う。この期間がとてももどかしい。そしてもしダメだった場合、この先一体どうなるのだろうといった不安感に包まれ、それらはココを想う度にどんどん増していく。

しかし、そんな思いが生まれる度に、直哉は自分に告げる事があった。直哉にはまだもう一つやり残した事があり、それを思うと直哉はいつも心が引き締まる。

今回も今まで同様にまだやることがあるだろうと。不安だとか淋しいだとか思ってる暇は無く、早くけじめをつけなければならないのだと、また思い改まった…そんな時だった。

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