一番近くに君が居る


「暑そうだね、大丈夫?」


考え事をしてピタリと止まっていた直哉の目の前に現れたのは丁度今思い浮かべた人物、仲本 美穂。


「…あ、あぁ、大丈夫。でも鉄板がすげぇ熱い」

「ふふ、そうだよね。外も暑いのに鉄板の前じゃ辛いよね」


ニコニコと微笑んで楽しそうな美穂。直哉が焼きそばを買いに来たのかと尋ねると、彼女はうんと頷いた。

直哉は受付係に注文を通し美穂の分を焼き始めながら、少し考える。


ーーそして、それを口にした。


「なぁ、この後時間ある?」

「…え?」


まさかの直哉の申し出に美穂は一瞬呆気にとられていたが直ぐに我に返り、「う、うん。あるよ!」と明るく答える。それを聞いた直哉は「そしたら待って、えっと俺スケジュールは…」と近くに貼ってあるスケジュール表に目をやると、近くで聞いていた具材準備係の男子が一人、「代わってやるから行ってこいよ」なんて提案をした。


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