一番近くに君が居る


「え、まじ?いいのか?」

「おう!牧の番ももうすぐ終わりだしな!」


笑顔でハツラツと言うクラスメイトに何の疑いも持たず、申し訳なさそうにしながら直哉は感謝の言葉を告げた。すると彼はずいっと直哉の傍に寄ってきて、耳元でこっそり一言。


「頑張れよ!」

「……あ、あぁ」


美穂と共にその場を離れる時、もう一度直哉はチラリと振り返ってみる。すると代わりに焼きそばを焼く彼と目が合い…その時見えた、彼のピッカピカの笑顔とグッと前に突き出された力強いグーサインはきっと忘れないだろう。


…完全に、勘違いしてやがる…


直哉は呆れて溜息をついた。


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