一番近くに君が居る

「これが最後?」




三人がココの教室の前に到着すると、ボーイ姿の男子が「いらっしゃいませー、何名様ですか?」なんて声を掛けて来た。

その様子に翔は、「おいおい、ここはお帰りなさいませご主人様ってヤツじゃねぇのかよ」なんて呟き、「しかも男かよ、メイドじゃねぇし」とまで言うと、隣の笑華に「キモい」と冷たく言い放たれた。

しかし、そんな翔と笑華のやり取りなど気にならない程に妙な緊張感を張り巡らせた直哉とボーイの男子の二人。なぜなら、それもそのはず。


「…おう。久しぶりだよな、長田」

「…あぁ。何?もしかして篠宮さんに用か?」


直哉と長田。二人は別にお互いを敵対視している訳でも無いのだか、あの日以来初めて会う今日、自然と生まれるのはそんな空気だった。
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