一番近くに君が居る
「…どういう事?」
口を開いたのは笑華である。しかし直哉の耳には届いていないらしく返事は無い。
笑華はそんな直哉に再度尋ねようとはせず、そのままチラリと視線を翔へと移した。しかし翔はそれに答えられるものを持っている訳では無かったため、諦めろと、首を横に振る。
それを知るのは恐らく、ココと直哉、そして長田の三人だけだ。
そんな、三人が妙な空気を漂わせる中、教室の方では長田がココに告げたのだろう。「え?友達?誰だろう」なんて壁の向こうから聞き慣れた素直な彼女の声が聞こえてくる。
そしてパタパタと小走りに走る足音が近づいてきてーーピタリと、三人の目の前で足音が止んだ。
「あ、…え?」
目の前に立つココの瞳が、驚愕の色に染まる。