一番近くに君が居る
「な、なお…」
するとココはハッと振り返った。その先には長田の姿があり、長田はココをジッと見つめたままその気持ちに応えるようにコクリと一度、頷いた。それにココは、「うん…」と何やら心もとなげに呟くように答えると、再度こちらへおずおずと顔を戻す。
そんな二人の様子をただジッと黙って直哉は見つめていた。
「……えっと、え、笑華ちゃん!夏休み振りだね!翔君は昨日振り!」
口を開いたココは無理に明るくぎこちない笑みを顔に貼り付けていて、思わず翔と笑華の二人もつられて挨拶がぎこちなくなってしまう。…しかし、問題はここからだ。
「…え、えっと…な、直哉も…ひ、久しぶり…だね…」
「……」
ココは目が合ってるんだか…というかむしろ、合わせるつもりがあるんだか分からないくらいに視線が落ち着かない。
直哉は、それはどういう意味なんだろう…と、心で思う。