一番近くに君が居る


自分を確認した瞬間、まるで助けを求めるかのように向けられた長田への視線。言葉の無い、合図だけで伝わる二人の会話。一体あれは何を話していたのだろう。そして今、気まずげに自分と合わないこの瞳は何に対してのもの?

…それはきっと、もうココの中では何かが決まっていて、何かが始まっているという事。きっともう、そこには俺の知らないココが居る。


直哉は、ココの事なら全て知っているつもりでいた。いつからだろう、いつからココの心が知りたいと思うようになって、いつからココの事が分からなくなったんだろう、なんて思い出そうとしてみるが、そのきっかけすら思い出せなかった。つまりそれは、きっと最近の話では無い。


俺はずっと、ココの事を知ってるつもりになってたんだ。


「…あぁ、久しぶりだな。ココ」

< 284 / 306 >

この作品をシェア

pagetop