一番近くに君が居る
そう、直哉は笑顔で答えた。こんな風なココは二回目だ。あの時は翔の事が好きなんじゃねぇかと思ったりして…あれ?結局あれはなんで避けられたんだったっけ?
…まぁ、いっか。久しぶりにココに会えたんだ。それにもう何があろうがなかろうが、今の状況じゃ何の意味も無い。
俺とは違ってココはきっと、会いたいとは思って居なかっただろうから。
「…じゃあ、俺はもう戻んわ。またな」
そう言って、直哉がその場を離れようとしたその時だった。
「…っ、」
ーーギュッと、掴まれる感覚。
動きの止まる自分の身体。
感覚の元を辿って視線を自分の右腕へとやると、そこには白い小さな手が二つ。
…これは……
「ま、待って…」
視線はその手を伝い、声の元である顔へと向かう。
そこには俯いたまま自分の腕を握る、ココの姿があった。