一番近くに君が居る
走る、走る、走るーー
ただひたすら背中を追った。
先で彼女は走る。彼女がどこへ向かっているのかなんて分からない。ただ…今はただ、それを逃してはいけないという気持ちしかなかった。
あれはきっと、ココからのサインだ。
走るココが曲がり角を曲がる。それに続いて直哉も角を曲がったその時。
ーーバタンッ‼︎
扉が閉まる音が、辺りに響き渡った。
ココの姿が消えている。どうやら教室内へと入り扉を閉めたようだが、どの教室に入ったのかは探さなくても分かった。
「……」
そこは第一理科室。この通りには第二理科室、そして理科準備室があるだけで、それらは全て文化祭で使われる予定の無い教室であった。