一番近くに君が居る


目を丸くして、腕の中のココは直哉を見上げる。驚きで止まった涙。大きな瞳が、理解出来ないと訴えている。


「言っただろ?俺はココに恋してるって。俺が恋してるのはココだけだ。一番近くに居たいのもココだけ。ずっと一緒に居たいのもココだけ。美穂に辛い思いをさせたかもしれないけど、俺がココに告白したっつーのはそういう事だ。どうしてもそれだけは話をしなきゃなんねぇ、だから話してきた。話してきた…だけのつもりだった」

「……」


直哉はそっと回していた腕をほどいた。それは真っ正面からココと向き合うため。直哉はココの目線へと、少し屈んでみせる。


「…でも、その中の俺の行動がココを悲しませたんだな。…ごめん。 ココ、ココが嫌がる事はもうしない。絶対だ。何でもいい、何でも言ってくれ。触るなっつーなら触らない。話すなっつーなら話さない。だから、だから…ココ。頼むから…許してくれ」


そしてそっと直哉はココの顔を覗き込み、ココの頭に手を添える。もうその動作にココが嫌がる事は無く、直哉はそのまま優しく彼女の頭を撫でた。

すると、ココの瞳からは落ち着いていたはずの涙がボロボロと零れ落ち始める。
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