一番近くに君が居る
無意識のうちに口から出ていた言葉。その言葉はココまでしっかり、届く。
「…うん。直哉が好き」
ーーついに、やっと、想いが通じた。
二人はお互い目を合わせると、小さく笑いあった。それはとても、温かな時。
「直哉、ありがとう。ごめんね、沢山泣いて。もうこんなのこれで最後にするから。もう泣くのもこれが最後だからね」
「これが最後?」
直哉は、そっとココの目元を親指で撫でる。
「…ココ、何度だって泣いてもいいんだよ。これが最後なんて言うな。…でも、一人では泣くなよ、俺の前で泣いてくれ。最後に笑顔のココに戻れるように、俺も一緒に居るから。だから、もう我慢するな」
ーーあの日、ココはもう泣かないと決めてから、ずっと我慢して来た涙。今日ついに溢れた涙。直哉は全部知ってるんだ。そう思うと笑顔と共にもう一つ、ココの瞳からは涙が零れた落ちた。
「…うんーー」
喜びを噛みしめるかのように、現実だと確認するかのように、誰も居ない教室でずっと二人は身を寄せ合っていた。
それはもう、二人の望んだ二人の姿、二人の形であった。