一番近くに君が居る


突如聞こえて来たその声は、たくさんの同じ制服の中から一つ、直哉の隣にやって来た男子から掛けられたものだった。


「おう!今日は早ぇなおまえ!」

「まぁなー、先に教室で待ってんわー!」

「おいおいどの口が言ってんだよ!」


ワハハハッと、楽しそうに笑って通り過ぎた男子はおそらく直哉のクラスメイトだろう。ココは直哉とクラスが違うためハッキリとは分からない。


「今の同じクラスの伊藤。アイツ毎朝ギリギリでさ、入学してから今日まで2週間ずっとだぜ?あ、今日は違ぇか」

「へぇー。直哉仲良いんだね!」


「まぁなー」なんて直哉が答えてすぐ、また聞こえてきた「牧、おはよう!」。それは学校に近づくに連れてどんどん増えていくが、これも毎朝のことだ。


「…相変わらず、直哉は友達が多いねぇ」


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