一番近くに君が居る

上手くいってるならよかったと、楽しそうに話すココの話に直哉が相槌を打ちながら歩き、二人は学校へと到着する。そしてそのまま靴を履き替え、自分たちのクラスへと向かった。


「じゃあまた帰りだね」


ココのクラスの前に着くとココは笑顔で直哉に言った。登下校一緒なのは中学生の頃からずっと続く習慣だった。


「おう、また連絡するからさ」


そう直哉が返事をすると、教室に入ろうとしたココは躊躇うように足を止めた。そして再度直哉へと振り返ったかと思うと少し困ったような表情をして「やっぱり少し淋しいな」なんて呟く。直哉にはその呟きが何に対してかなんてものは、長年の付き合いからすぐに理解が出来た。


「…でも、友達出来たんだろ?」

「え?あ、うん。大丈夫だよ、ただちょっと口が滑っただけ!平気だよほんと!」


直哉が自分の気持ちに気づいた事を知ると慌てた様子で誤魔化すココだったが、彼女はいつもつい本音が口からポロリと出てしまう質で、やっぱりこれもまた直哉はしっかり理解している。

…強がりやがって、本当は一人で教室に入るのが淋しいクセに。


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