一番近くに君が居る

なんてよく分からない事を口にし、翔は何故か自分のツボにハマっている。そんな彼に「はぁ?」と、直哉は訝し気な目を向けた。


「ま、これは訳ありでしてね。訳ありといえば…牧君。君の方もじゃないですかね?」

「…まさか、こんな時におまえと会うとはな。俺はおまえに一番会いたくなかったよ」

「ん?違うだろ?ココだろ」

「!」


直哉は思いもしなかったが、確かにその確率の方が高く、もしそうなればとても状況的に悪くなっていただろう。
何故か翔はこういう事によく気がつく。頭の回転が早く、危険を察知する能力に長けているのだ。恐らく、日々そういう場に身を置いて来たタイプの人間だからであろう。


「ココ…な。確かに、ココに会ってたらヤバかったかもな…」


そう呟く直哉に、翔はまたしてもニヤリと笑う。


「何があった?ココはおまえがそうなっても何も思わないんだよな?なのにココに会ったら何がヤバイんだ?」
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