一番近くに君が居る
「わたしが自由を奪うのはね?違うと思うの」
直哉が部活に入ってからというもの、毎朝のお迎えはすっかりココのお出迎えで始まるようになった。
今までの一人で起きられなかった日々が嘘のようだと、直哉はしみじみ思う。
「これもいつまで続くかだな」
「ん?何が?」
「いやーなんでも。したらちょっと早いけど今日は行くか!」
そして「うん!」と元気良く答えるココと共に久代に挨拶をし、いつも通りに家を出た。
「…なぁ、ココ。今日も翔と帰るのか?」
そうココに尋ねてみると「うん。なんで?どうかした?」と、いつもの如くキョトンとした顏で首を傾げてみせる彼女。
「いや、どうもしてねぇけど…」
と、口では言うものの、どうもしてない訳が無かった。直哉はどうしても昨晩の翔の言葉が頭から離れず、今だにグルグル頭の中を巡っているのだ。