cry
「亜紀、まだ終わらないのかな…?」
まだ終わらなさそうな亜紀のクラスのホームルーム。
周りがさっきより騒がしくなったと思ったら、気づけばもう他のクラスは終わっていた。
このクラスはいつも遅い。
担任の話がやたらと長いらしい。
はぁ…このクラスじゃなくてよかった〜。
なんて考えていると
こっちに歩いてくる雄輝の姿が視界に入った。
あぁ…帰るんだ。
「…るせぇーよ…あはは」
雄輝が友だちと楽しそうに話してるのが聞こえる。
どんどん近づいてくる。
雄輝が近づいてくるたびに緊張が深まる。
そして、雄輝が遥香の前を通り過ぎる瞬間…
…私は下を向く。
雄輝が通り過ぎた後
静かに顔を上げ、その楽しそうな背中を見送った。