女装彼氏×男装彼女
成績なんかが良くなければ先生の目に止まる事もなかったし、お父さんが社長なんかじゃなければ、言いつけられる事も(多分)無かった。
そんな考えても仕方のない言い訳ばかり考えて、私は黙り込んでいた。
だけど。
「父さんは、お前を想って言ってるんだ。そんな成功するかも分からない仕事で、人生を棒に振ってほしくないんだよ」
お父さんのその言葉に、私の中の何かがぷつりと切れた。
「お父さんに、私の何が分かるの」
どうせ、ほとんど家に居ないくせに。
私がこの夢にどれだけ支えられたか。
そんな事すら知らないくせに。
「何も知らないくせに、知った口を聞かないで!」
思えば、お父さんに反抗したのはこれが初めてだ。