罪を憎んで…明日の章…
明日香は、実の手を取って走り出した。

2人は本通りへ行く市電に飛び乗った。

車内はまばらに込んでいた。

「ふぅ、間に合った~」

「はは、急に走り出すから驚いたよ」

「夏は特に市電待ちたくないんですよね~あ、あそこ座れますよ?」

明日香が指差す方に、2人分の席が空いていた。

「本当だ。行こうか」

明日香が席に座るが、実が来ない。

『あれ?居ない。おかしいな確かにすぐ後ろに…』

明日香が入口付近を見ると、優しい笑顔でお婆さんに話しかけてる実を見つけた。

「大丈夫ですよ。俺も本通りってところまでなんで」

「でも、良いんですか?」

「気にしないで下さいよ」

実がお婆さんと話しながらやってきた。

「実さん?」

明日香の横にお婆さんを支えながら座らせる実。

『えっ?席を譲った?…宮田が?』
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