罪を憎んで…明日の章…
男たちの後ろにいつの間にか実が立っていた。

「なんだよ…。関係ない奴は…」

「俺の彼女が絡まれてたら、関係ないなんて言えないんですけどね?」

「…なんか文句でもあるんか?」

「まぁ今こっち見てる人全員禁煙場所で堂々と吸ってる貴方達に文句あるんじゃないかな?」

明日香が周りをキョロキョロと見回すと、いつの間にか注目を集めていた。

「…ふん、ちょっと煙いくらいで…」

「本当に受動喫煙って知らないんですか? 中学で習うはずなんですが…」

「もう、ええわ!許してやるからどけっ!」

そう言うと、男達は立ち上がり、タバコをふかしたまま立ち去ろうとした。

実は、男の肩をつかみ、振り向いた男の口からタバコを奪い取ると、落として足でもみ消した。

「何すんじゃっ!!」

実はタバコの吸い殻を拾うと、

「こんな人が多い中で、歩きタバコは何かあったら洒落じゃすみませんよ。大人の手の高さは、子供の目の高さ…タバコ吸うならその辺、考えて下さい」

もみ消したタバコを、男の手に握らせ渡した。

実は、明日香の方に歩み寄って、「ごめんね」とジュースを渡して笑った。
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