罪を憎んで…明日の章…

第6話

「止血しますっ！誰か119番をっ！」

女性は叫びながら、実の頭部の傷口付近を指で押さえる。

近くに居た男性が119番に連絡し、状況を説明しているようだった。

向こうから中学生くらいの女のコたちがお巡りさんを連れて走ってくる。

「…大丈夫よ。安心して…私、外科医だから」

「えっ…」

しばらくすると救急車が到着し、ストレッチャーに実が乗せられ運ばれて行く。

女性が救急隊員に何か説明している。

救急隊員が女性の指示で、手で実の頭を押さえる。

「はやくあなたも一緒に、乗りなさい」と女性は明日香に救急車に乗るように伝える。

「えっ…あの、一緒に…」

「救急車にそんなに乗れないの。それに向こうの広場に娘を置いてきてるから…あとで様子も見に行くから早く行きなさい」

と、言うと血が付かないように肘の辺りで、明日香を救急車の方へ押して乗せた。
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