罪を憎んで…明日の章…
「大丈夫ですよ」と医者がマスクを外して微笑みかける。

「ほっ、本当に…?」

「えぇ…傷も少し深かったので、出血の量によっては危ない状況でしたが、止血がはやかったのが不幸中の幸いでしたね」

「良かった…よ、よかった…」と明日香はボロボロと泣いた。

「大丈夫だったのね?」と後ろから女性の声がする。

「あっ…」と明日香は振り返る。

「遅くなってゴメンネ。ちょっと手を洗わないで行こうとしたら、周りの人に止められちゃって…」と、はにかんで先ほどの外科医の女性が笑っていた。

「あっ、いえ…本当にありがとうございました。あの、止血が遅かったら危なかったって…」

「役に立ててよかったわ。あっ、彼が運ばれるわね。私は執刀医とちょっと話してくるから」

そして、明日香は実のストレッチャーを追いかけ病室に向かった。
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