青い星と青虫と
新しい住まいにて
母とやってきた田舎のとあるアパート。
そのアパートは母の中学のときの同級生が大家さんをしているところで、2DKの部屋を借りたのだった。
前日の夕方に荷物を入れてもらい、母と私は翌朝到着したばかりであった。
1階の右から2つめの部屋なのだが、入口横に大きなダンボールが残っていた。
「こんなところに1つ取り残されてるわ。ひど~い!
これっていったいなかみは何なのかしら?」
「園芸用品とお花の土よ。」
母は笑ってそう言った。
電話でここの大家さんのお友達と話しているうちに、療養するなら趣味でお花や野菜でも作ってストレス解消すればどうかということになったらしい。
それでも段ボールで置きっぱなしというのはよくないし、私も学校へ登校する前に中身を出すだけ手伝おうと思って箱をあけて取り出そうとした。
「うう・・・重い!
上からひっぱるにしたら土は重いね。」
「あとで箱をカッターで切ってしまうから、小夜は学校へ行きなさい。
手続きや挨拶だってあるんだから。ね、早く!」
「でも・・・」
すると、いちばん右端の部屋の扉が開いて、長身の若い男の人が横をさりげなく通るついでに、さっと箱の中身を外に出していってくれた。
「ありがとうございます。助かりました。」
「いえ、大したことではありませんから。」
「あのお隣に引っ越してきました長浜です。
のちほどまた、ご挨拶の品を用意してきちんとご挨拶にいきますね。」
ぶっきらぼうそうだけれど、親切な初お目見えのお隣さんに挨拶をすると
「相楽です。私はフリーターなのでいないことが多いんです。
おかまいなく。よろしく。」