青い星と青虫と
白蛇の青年は阿狼の目をじっと見つめると、自分の名前をつぶやいた。
「白夜だ。俺は白夜。(びゃくや)妹は白陽(はくよう)という。
俺は体術主体、妹は魔術を使って戦っていたんだが、妹の術がすべて封じられてこのザマだ。
あんた、いや、王様は魔法主体に戦闘すると聞いているが、大丈夫なのか?」
「さぁどうだろう。
でもな、私は術そのものを自分にかけて飲み込んでいる状態なのだ。
戦闘は主に体術でいくつもりだが、それではだめだと思うか?」
「いや、それでいいと思う。とにかく魔法攻撃は聞かないと思ってくれ。
それと姫は置いていった方が・・・」
「いや、連れていく。
君の妹を手当てせねばならないかもしれないし、妻の力が必要になる気がするんだ。」
「それは予言か?」
「予感だな。確証はない。私の勘がそう示しているだけにすぎないんだが。
じゃ、連れて行ってくれ。」
白夜は阿狼を連れて上級魔族ギガフのところへと向かった。
「約束通り姫を連れてきたか?」
「ああ。この通り眠っている・・・でも姫を渡す前に妹を返してもらわないと姫は渡さない。」
「フン、蛇娘など何の役にもたたぬわ、ほれ。
その娘の隣に姫を置いて立ち去れ。妙なことをすれば蛇娘の心臓をえぐる。」
「わかった・・・。」