青い星と青虫と
白夜は小夜を抱きかかえて白陽の隣に置いた。


そして次の瞬間、置いたはずの小夜の姿は消え、白陽の姿も消えた。



「なっ!何をした?」


ギガフが大声で叫ぶと、阿狼が声をあげて笑った。


「はははは・・・案外、こんな子どもだましにひっかかるものなんだ。」


「おまえは!」


「はじめまして。このたび姫の寵愛により、ルナドルートの王に就任いたしました阿狼と申します。なんて・・・ね。」



「阿狼?狼族か・・・王だと。
まさか!まさかそんな・・・小夜姫様がおまえと!
そんな・・・そんな理不尽なふしだらなことがあっていいものか。

許さん、許さんぞ!」



「え!?ちょっと待てよ。
おまえは魔族だろ。姫を食うつもりじゃなかったのか?」



「ああ、最後は食っても仕方がないと思っていたさ。
でも、俺は・・・俺はずっと姫の姿を追って・・・。
俺が王になるはずだったんだぁ!」



「なっ・・・何ぃ?」



「ずっとお慕い申し上げてきたというのに、狼などと・・・。
こんなよわっちい男にその身をささげてしまわれたのか。
何ということだ。」




「何を勝手なことを言っている。
そういうことを言っていいのは、魔族にまで身を落とす前に言え。
おまえは姫を慕ってなどいない!
自分がかわいいだけだ。」



「うるさい!おまえの魔力など吸い取ってやる!」
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