青い星と青虫と
小夜は思わず、
「お母さんは早く寝ないと体に悪いよ!」
と叫んでしまった。
「ご、ごめんなさい。母ったら・・・今の聞こえてたでしょ。
オオカミさんだもんね。」
「は、はい。誤解されてしまったようですね。」
阿狼は苦笑いした。
そして、音が聞こえる話から気がついたように小夜の掌に小さなホイッスルを置いた。
「まさか犬笛とか?」
「そんなものです。お困りのときに使ってください。」
「わぁ。かなり心強い安全ブザーだわ。」
「くっくくく。あはは。」
((だめだ・・・阿狼さんってほんとに笑顔がきれい。
生徒会長のときもかわいいって思ったけど、今は見てるとドキドキしちゃう。
あ、私って何考えて・・・。あのオオカミさんなのに。))
小夜はまた明日と声をかけて、走って家へともどっていった。
ひとり残った阿狼の傍らに市狼がスッと現れる。
「姫さんは阿狼に恋したみたいだね。
魅力を振りまき過ぎたのかな。」
「そんなわけない。姫は私のことを覚えていた。
見た目でふりまわされるほど愚かな人ではないよ。
するどい姫様だ。」