青い星と青虫と
市狼は軽い笑顔のままだが口調はしっかりと
「軽いタッチでは言ったけど、冗談じゃないぜ。
たぶん、姫にこれから近づいてくるこの世界のオスたちは皆真剣そのものだということを認識してもらいたいんだ。」
「そういうことか・・・」
小夜は恐る恐る質問してみた。
「それってね、もしかして、私を手に入れれば王様になれますよ~みたいなこと?」
「そういうことです。16才をむかえたあなたは正式にルナドルートの王族として魔力を受け継いでいるはずです。
目をとじたままで私の方を見てごらんなさい。」
「目をとじたまま?・・・!!!!阿狼さんがおおかみさんに!
銀色の狼の姿がまぶたに映ってました。」
「そうです。相手の真実の姿が映し出せるようになったんです。」
「あちらの人間界でも、あなたにわざと近づく者がいないとは限りません。
そのときはその王族の目を使って見てください。」
「はい。
でも・・・ほんとに・・・ほんとに現実なんですよね。
母の療養でついてきたはずなのに、こんなに複雑で大変なことばかり。
やっぱり、急には信じられない。」
小夜がもうこれ以上抱えられないという表情をすると、阿狼は小夜に両手をかざした。
「すみません・・・現実をお伝えすることを急ぎすぎました。
姫は素直過ぎるので、つい何でも押し付けてしまったようです。」
「いいじゃないか。僕は早くこの子の本音を見ることができてよかったと思ってる。
必ず、みんなを導けるいい王族になる。
そして、僕は当然・・・王族の洗礼を受けてみせるってね。」
「な・・・。余計なことはもういい。
小夜さんを無事に帰宅させないと!」