青い星と青虫と
小夜が目を覚ますと、いつもの光景、いつもの音がした。
「あれ・・・お母さんがご飯のしたくを?」
「もう!何を寝ぼけてるの?
あんた、お隣さんがいなかったら沢に落っこちてたかもしれなかったっていうじゃない!
お母さんもう・・・顔から血の気がひいたわよ。
その程度の擦り傷で済んでほんとによかったのよ。
ちょっとこれ持ってお隣さんにお礼行って来なさい!」
「え?ええ???・・・手足に擦り傷が・・・。あっルナドルートに!”
あ・・・うん。すぐ持って行ってお礼言ってくる。」
隣の部屋を訪ねた小夜の指が震えた。
チャイム押すのも緊張してついためらってしまう。
ドアが開き、すぐに声がした。
「どうぞ・・・気を遣わせて申し訳ないですね。」
「あ、阿狼さん・・・。
あの・・・ルナドルートからの帰り道から、うちまで運んでくださったんですね。
ありがとうございました。
私は早く慣れなきゃいけませんね。
おすそわけ置いていきますね。
明日また学校で・・・おやすみなさい。」
小夜は母が待っている手前、阿狼に重箱を渡すとさっさと自宅にもどっていった。
「小夜ちゃん・・・私の予想以上にいい娘さんに育ててもらえてうれしいです。
私の方が早く慣れてもっと強くならなければいけないくらいに。」
自宅にもどった小夜は母といっしょに夕飯を食べながら、学校での話を楽しげに話した。
いきなりの生徒会役員ということで母は驚いていたが、町を知るためということが母にとっても嬉しかった様子で、小夜も転校してきてよかったと思った。
本当は・・・隣に住んでいる阿狼さんその人こそが会長なんだと話したい気持ちを押さえて、いかにも別人の大人のイケメンという位置づけをして話していた。
((うん、我ながらいいアイデアだよね。
大人の阿狼さんが高校生に化けちゃうなんて普通きいても信じるわけないもの。))