青い星と青虫と
副会長の松川千夏も会長と書記の小夜がにこやかに登校してきたことを、いい傾向だとは思いながらも、理由を詳しく知りたいと思った。
「ルナドルートで何かあった?」
「えっ!!!松川先輩、ルナドルートって・・・ご存知なんですか?」
小夜は眼を丸くして叫んだ。
阿狼はすかさず言葉を追加した。
「彼女はね、ルナドルートの妖精さ。」
「よ!よ・よ・ようせい。妖精!!!!!
松川先輩はとても美人さんなのは納得ですけど、妖精なんてほんとに、ほんとに存在してるなんて。」
「存在するのよ。
私は木々の妖精なの。あっちでの名前は千花って言うの。
でも、私には優れた戦闘能力ってないから、傷ついた会長や風紀部長のキズを癒してあげる程度のことしかできないのよ。
もちろん、小夜さんが怪我をしたときも治療してあげるから遠慮なく言ってね。」
「はい、ありがとうございます。
千花(せんか)さん・・・きれいですねぇ。」
小夜は千夏の姿の上書きとして千花の姿がうっすら見えていたのだった。
「あっ・・・小夜さんは見えているのね。私の本当の姿も。
すごいわ。王族の力を発揮してるじゃない!」
「うふふ。」
するとそこへ、神妙な顔をした美化部長の桜野波人が急いで入ってきた。
「楽しんでる場合じゃないぞ。
俺たちカラスの情報網によると、こちらの結界を突き破ろうと暴れている化け物1匹がすぐそこまで向かってきているらしい。」