青い星と青虫と
そう思った瞬間、小夜はスッと体が自由に動けるようになり、体が宙に浮いたことに気がついた。
「王室の女というわりには、何もできねえものなんだな。
しばらく動くなよ!」
目の前に見えるものは、銀色に光る生徒会長モードの阿狼が漆黒の剣士に斬り殺されていくというものだった。
「あ・・・そんな。・・・」
思わず目を伏せ涙が流れる・・・。偽者だと見破ったはずなのに、小夜は涙が止まらずにいた。
「もう一度、残骸を見てごらんよ。」
黒ずくめの男にそういわれて、顔をあげてみると、化け物の残骸が泡にまみれながら消えていく。
「こいつはターゲットの好きな生物に変身してやってくる。
あんたの思い人を俺は殺した・・・そう見えたはずだ。」
「危ないところをありがとうございました。
あなたは・・・黒い狼さんなんですね。」
「俺を簡単に信じるの?」
「ええっ!?だって、狼妖怪の人ってみんな私を守ってくれるんじゃ・・・」
「ああ、守るよ。
自分の女を守るのは当然の義務だからね。」
「自分の女って・・・。」
「こういう関係っていうのはこの世界でも同じでしょう?」
黒ずくめの男はそうつぶやくなり、小夜の唇に強く唇を押し付けた。