青い星と青虫と
((うう・・・やだ、こんなの。
名前も知らない人にどうして、こんなことされなきゃいけないの・・・。))
「王族の力も使いこなせないんだな。
されるがままの姫。かわいそうに・・・泣いちゃってるね。
麗しいね。とても甘いキスだったよ。
今なら、俺の実力の5倍以上の敵でも倒してあげられる・・・。」
「えっ・・・?そういえば、少し熱があるような感覚が。」
「今頃気がついた?
姫は濃厚なキスで俺を救ってくれたんだよ。
ほんというと、さっきの一撃で倒れそうだったんだ、俺。
戦闘続きでここまで逃れてきたからね。
別の世界だから何かと魔力も使ったし、歩くのもつらくてね。」
「だったら最初からそういってくれれば!」
「キスしてくれたかい?」
「そ、それは・・・。?きゃあーーーー!」
黒ずくめの男はひょいと小夜をお姫様抱っこして、アパートまで送り届けた。
「俺は紫音。このアパートの大家さんの親戚だから、君の育てのお母さんの遠縁でもある。
あくまでもこっちの世界での役割だけどね。
近いうちに、またキスしような。
それと、ひとり歩きはNGだから。
さみしい気持ちがしたなら、ここへおいで。
いくらでも美人にしてやるから。」
そう言葉を残すと、すぐに気配すらなくなった。
「シオン・・・。初めてのキス。
こんなに胸が熱くなるの・・・?
私だけなのかしら。
普通の人間も?
こんな感じになっちゃうのかな。」