青い星と青虫と

紫音は300年に1度の神の乱心はもともと神がどうかなってしまったのではなく、計画的に魔族が自分たちが完全に消滅してしまわないようにするために質の高い魂を食らう日を設定していると説明した。


王族の魂はふだんから狙われているのだが、城の強固な結界と狼を主体とする妖怪、精霊の協力によって魔物たちから守られていた。


しかし300年に1度のそのXデーというのは、結界など役に立たなくなるほど魔物たちの力が強くなり、王族付きの騎士たちの力が試されるときでもあるらしいのだ。


紫音はいつものように皇太子に挨拶をするときに、皇太子ではないことを見破ったのだった。



「ほんとに迂闊だった。
いつもの朝がすでに平常ではなかった。

本物の皇太子はまだ赤子の妹になど興味を示さなかったのに、突然妹に会いたいと執拗に迫られた。

城に君がいなかったのが幸いだったんだ。」



「未だに、あなたは王族殺しってことになってることはウソだと声をあげないつもり?」




「姫さえ、わかってくれれば俺は十分だ。
俺は銀色狼だった。
それが誇りだったのに、皇太子の血はそれを許さなかった。

偽りの皇太子なのに、血は本物の皇太子殿下のものだった。
俺の心がつぶされそうになった。

魔族は俺を汚染した。あとのことは・・・君に会うまでいったい何をやっていたのか記憶が定まらない。」




「でも・・・あなたに会ったのはこの前が初めてのはず。」


「違う!」
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