青い星と青虫と
紫音は小夜の瞳をじっとのぞきこんだ。
「え!?頭が・・・白く・・・やだ。こんなの・・・また。」
小夜が赤ん坊のときに遡る。
「おぎゃあおぎゃあーーーー!」
「あれぇ?この子捨て子じゃないの?」
「ほんと、かわいそうに。
この寒さじゃ死んじゃうわ。」
「うちで引き取って・・・って言いたいけれど、来月生まれるし。」
「わかったわ、私がお母さんになる!
この子は東京へ連れ帰って、私が育てる。」
紫音は小夜といっしょにこの世界へ逃れてきたという。
この地で大家さんの家に転がり込み、療養するのがやっとだったらしい。
赤ん坊だった小夜をこっそりと見守り、気を失ったと話した。
「紫音も守ってくれてたんだ・・・。
私は何も知らないまま、いろんな人に守られてここまで来たのね。
あ、でもどうして再生がうまくできないか、紫音なら知ってるんじゃ?」
「ああ。知ってるけど・・・それで姫が納得できるのかどうか。
再生をすぐに正常化するにはな、強い生命力のある妖怪を伴侶として選び、セックスによって伴侶を王族に作りかえる。
言葉でいうのは簡単だが、もとは妖怪のオスだからな。
世界まるごと抱えられる技量を持ち、姫を心から愛し、寿命を減らしてもよいと考えられるヤツでなければ・・・。」
「寿命が減るの?妖怪って何歳なの?」
「俺は生まれて150年ってとこだな。
君の好きな王子様妖怪も似たような年じゃなかったかな。
君はこちらの人間よりは長生きだろうけど、200年は無理だな。」