青い星と青虫と
いきなり狼妖怪の年齢を聞かされて、小夜はショックを受けた。
((阿狼さんが150歳・・・ってこと?
だから、高校生姿だとメガネが必要で、大人の姿だとあんな感じが限界ってことなの?))
「妖怪にとっては年齢なんて細かいことで、気にすることじゃない。
見た目けっこう変わらないしな。
こっちの人間はとても短い寿命なんで驚いたけど。
小夜は16才超えたから、これからは見た目がけっこう変わらない時期が続くよ。
だからこそ、この世界で暮らすことは無理になってくるんだ。
君の育ての母はずっと君が16才の見た目のままだったらどう思うだろうね。」
「私がこのまま?見た目このまんまなの?」
「ここで泣くのか?」
「ううん・・・。泣かないもん。」
「はい、お客様お疲れ様でした。
すぐに外には出ないで。10秒したらこの空間を変化させるから、俺と少し出かけないか?」
「うん。いいけど・・・変化って・・・?」
紫音は呪文のような音を発すると、店の人たちを一瞬固めたような空気が通り過ぎた。
紫音の思いのままの記憶を店の人や客に植え付けることができてしまうらしい。
小夜は紫音といっしょに、町はずれの公園を歩くことになった。
紫のブラウスに黒のズボン・・・仕事着からエプロンをはずしただけの格好に黒くてサラサラの髪。
後ろが少し、肩にかかるかという芸能人っぽいスタイルに、よく見ればグレーがかった黒い瞳。
銀狼なのに、輝かない体・・・。