青い星と青虫と

阿狼の渾身の一撃を紫音はびしっと鞘から引き抜いた3㎝の部分だけで受け止めた。


「何をしたかだって?
何度もキスをしてた・・・。姫は優しいから毒まで取り除いてくれたよ。
もう少ししたら、姫に男女の愛し合い方もお教えしないとな。」



「くっ!貴様は姫には触れさせん!
同族の英雄かもしれないが、身内すらも斬り捨てていったから残るその黒い毒肌を姫に近づけさせるわけにはいかない。」



「きれいごと言うんじゃない!
俺たちが身内も犠牲にして戦っていなければ、ルナドルートの王族、親戚筋、そして世界全体が消滅していたかもしれないんだ。

姫はどこへ行こうとも、狙われる。
今のおまえの実力で、敵の親分に本気で勝てるとでも思っているのか?」



「敵の親分!?姫の弟君様が糸をひいているのではないのか?」



「姫のご兄弟などとっくに亡き人だったんだ!
毎度、魔族の式典に俺たちがふりまわされていただけだったんだよ。

しかも、今回はあいつが・・・姫を狙っている。」




「あいつ?あいつとは何だ?」


「魔王、いや、魔王級生命体とでもいうべきか。
姫の妊娠、繁栄能力を狙っている。

王族の姫は心から愛した男の子どもをたくさん産むらしいからな。
姫を守る方法は2つ。

敵を確実に粉砕消滅して倒すか、姫の愛する夫になるか。」



「そんなに敵は強いというのか?」



「ああ。今は深手をおっているから、しばらくはおとなしいとは思うがな。
その怪我を負わせるために、俺はじつの母を斬った。
そして・・・この黒い姿となったのさ。

胸がこう黒くなっては呼吸もままならないかとあきらめかけたところに、姫のお助けだ。
俺はまだ戦える!」
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