青い星と青虫と
「狼といえど、全力で愛しいメスに求愛するときには・・・牙や爪を振りかざすかな?」
「そんなわけないです・・・。えっ!?!?」
「彼はすべて承知の上で武器を下ろしてしまった。
それで結果はどうだったのかな?
武器をすべて失くしてもいいほどに目的は達成された?
そんなふうには見えないけど。」
「ごめんなさい!! 私が、私が受け止められなかったの。
守ってもらってばかりなのに、私が役目をしっかり果たせれば、みんなの負担を軽くできるのがわかっているのに。
王族の力が変なところでばかり発動してしまって、私は。
もう私なんて守らなくていいです。
私・・・お母さんが亡くなった時点で生きてたら死にます。」
「ルナドルートは消滅しろと?
生き残ってきた仲間に死ねと?そう命令するの?」
「それは・・・。もう、どうして王族の娘は私しかいないの?
おおかみさんたちは本家でも妾の分家でも仲良くしていられるんでしょう?
王族だって他に女の子くらいいてもおかしくないはずよ。」
「ああ、女の子はいたよ。
でもね、ルナドルートのすべての命を正常に次の時代に引き継げるのは、王の娘。つまり直系の姫だけなのさ。
分家の姫たちのほとんどは阿狼に憧れないわけがないだろう。
この僕でさえ、お付き合いを断るのに苦労した方なんだから。
ルナドルートの姫たちはけっこう積極的なわけ。
僕ら、獣種の妖怪なんて従うしかできないのが普通。
じゃあ、阿狼は毎日姫たちに逆レイプされそうだと思わないかい?」