青い星と青虫と
市狼は首を横に振った。
「2人にしぼることなんてない。
小夜ちゃんは好きな男と結婚すればいい。
ただ、それは僕たち戦士が魔物たちを制することができてからの話。
もしも、できない状況となった場合には・・・王族の力を増幅させるためにも姫が王族を復活させて王となる者を自らの体でもって選ばなくちゃならない。
選ばれた者は毒する者をたたかなければ子孫繁栄どころではなくなる。
それが狼種ならば寿命をも犠牲にするということなのにね。」
「阿狼さんが私を求めたのは状況がまずいのよね。
いちばん戦闘能力が高いと言われた紫音さんがあんなふうになってて。
なのに私は・・・」
「あせらなくていいって言ってるだろ!
16なんだ。楽しめよ。
たった16なんだから、楽しい学園生活していいんだ。
僕はそう言ってあげたい。
阿狼だってそう思ってるよ。
心配はいらないさ・・・。重くなった武器を今頃かつぎなおしてるだけだから。」
「中家先輩・・・。いい人ですね・・・ごめんなさい。
いいおおかみさんです。ヒック、グスン・・・ウウ。」
「ちょっともう泣くな。
あ、小夜ちゃんってココア飲むと笑うんだったよね。
すぐこさえてやるから、もう泣きやみって。」
市狼と話をして落ち着いた小夜は、運動会後のイベントパンフレットを校舎に貼り始めた。
3階から1階にかけての階段近くに貼っていき、職員室と保健室の間に貼っていたときだった。
「書記さん、今日はひとりでお仕事なの?」
「ちょうどよかったわ。私たち、あなたに意見したくて見てたの。」
2年生らしい女生徒が5人、小夜の前に立った。