青い星と青虫と
それから阿狼の姿を見ない1週間がさっと過ぎ去った。
もちろん、その間に紫音のところにも行っていない。
市狼に聞いたら、阿狼は欠席扱いにはなっていないらしいが、校内で見かけたという話はぜんぜん聞こえて来ないのは例によって人々の意識を生徒会でいじくったに違いないと小夜は思った。
生徒会の運営は副会長を中心に進んでいた。
とりあえずの仕事は、6月の運動会とその後の新入生歓迎パーティーについての進行打ち合わせだった。
「昨年のパーティーって・・・!!ダンスパーティー?
それってやっぱり・・・。先輩たちが・・・。」
「2年の相楽と中家の相手を決めるくじ引きがもう大盛り上がりだったな。」
美化部長の波人がめずらしく言葉を切り出した。
「そうそう。くじ引きで相手が決まるまでが長くてさ、決まったら1分後にはパーティーが終わってたんだ。あははははは」
市狼が手をたたいて笑った。
「中家先輩、当たろうと思って待ってる乙女にとってはきっと重要な夜だったんだと思います。
そんなに笑うなんてひどいです。
私がくじを引くとしても、運動会が終わる前からどきどきしちゃいますよ。
だって・・・阿狼さんとみんなの前で踊るなんて・・・。
あの、昨年会長と踊った人って誰だったんですか?」
「いねぇよ。」
「えっ?」
「現在2年1組の高元さんがくじを引き当てたんだけどな、踊ったのは僕だ。
阿狼は夜はダメだって雲隠れしやがったんだ。
意味わかるでしょ?」