青い星と青虫と
友情は凶

生徒会長である阿狼はさぞ朝から大変なんだろうなと本部テント前や放送室、保健室、生徒会室と歩いた小夜だったが、どこにも阿狼の姿は見られない。


実際の仕事は市狼が取り仕切っている状況だ。


小夜は市狼に阿狼の様子を問いただしたが、ルナドルートへ行っているしか市狼は答えなかった。


((どうして・・・?昨日の夜は運動会もその後もいるって言ったのに。))


そうしているうちに、運動会の開会式が始まった。

生徒会長挨拶も練習は市狼がしていたので、小夜はお昼を食べたら早く片付けて帰ることを考え始めたときだった。



「新入生の皆さんにとっては初めての運動会ですね・・・」



「えっ? あれは・・・」



会場の女生徒たちのテンションが急に高くなったのがわかる。
1年の女子がみんな席から乗り出すようにして、朝礼台の上を眺めだした。


ちょっと腹立たしいやら、やっぱりメガネさんなのやらで小夜はふふっとその場で笑った。

((これじゃ、私ってミーハーみたいだわ。・・・でも、居るべきところに居なきゃいけない人がいるってうれしい。))



お昼前に午後のプログラムとイベントの打ち合わせに生徒会室へ行った小夜は予定変更の連絡を聞いて驚いた。


イベントでやるはずだったクイズ大会とくじ引きを表彰式前にやってしまい、その後、表彰式、そして人気投票5位までの男子と色違いで同じ番号のくじを引いた女子とペアになって障害物競争をするという。


そして競争で1位になったペアの女子の願い事がきいてもらえるというプレゼント付きだという企画に変更されたというのだ。



((これって、私のために?なんてそこまで調子に乗るもんじゃないわよね。
でもでも・・・阿狼さんと障害物競走できて、その上に公認・・・な~~んちゃって・・・。きゃ~~~~私なんてこと考えてるのかな・・・。))
< 59 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop