青い星と青虫と
小夜はもし阿狼がパートナーでなくっても・・・とは考えていたことだけれど、潮見佐織の様子を見てしまったら心穏やかとはいえなくなってしまった。
当然、市狼の質問も聞こえていなかったのか黙ったまま。
すると市狼はひょいっと、小夜をお姫様抱っこしてしまった。
「えぇっ!!?」
「リクエストないから、こんなのでいいかなって思ってな。
あのさ・・・この後ちょっと真面目な話がある・・・。つきあって。」
「中家先輩、いきなりそんなぁ!・・・。
な、どうして小声でそんな・・・?」
市狼が小夜にパチンとウィンクして会場は騒ぎ出し、司会者が盛り上げる。
そんな中いきなり、たくさんの悲鳴が起った。
「えっ?」
「はっ?」
「おおっ!」
「あたし、相楽先輩の唇をもらっちゃったぁ。うふっ。」
阿狼自身も咄嗟のことでメガネを押さえて立ち尽くしているところ、佐織だけがニコニコVサイン状態である。
「これでもう、あたしは相楽先輩の彼女決定ね。」
小夜は目の前のことがお芝居であるかのように見えたり、ずっと待っていたのは何だったのかと力が抜けていくのを感じて、すぐに仮設舞台から駆け降りて走った。
市狼は阿狼に手で合図を送ると、小夜の後を追いかけていった。