青い星と青虫と
市狼の真剣な目に、小夜は黙って頷いた。
「僕はね、銀色輝く美しい剣士の思いをこめた鋭い一撃が大好きなんだ。
ほんというとね、その一撃をはねのけて勝ったこともあるんだよ。
かなり若いときだけどね。
勝っても負けてもあいつの振りはまっすぐで美しい。
小細工とか上っ面を繕うなんてできっこない心そのものなんだ。」
「親友なんですね。」
「戦友だって。かけがえのない戦友。
同じ故郷を守ろうとする気持ち。同じ目標。
そして同じく大切な人を守る。」
「あの・・・中家先輩って器用だから化身がくずれないって言ってましたよね。
イベントの続きじゃないけど、こっそりこっちでの普通でいられる化身姿を見せてほしいです。」
「う~~ん、この前見てたでしょ。戦ってたとき。
しょうがないなぁ。じゃ、部屋開けるからちょっと来て。」
生徒会室を一時的に開けた市狼は、右手を高く天にかざしたポーズをとると目を閉じた。
すると、あっという間に白いブラウスに下は黒のスラックス姿、脱色したかのような薄い茶色の長い髪を軽くおしゃれに束ねている。
「ひゃぁ~~~~!すごーい。きれ~い!どこから見てもお金持ち。」
「それって・・・ほめてる?
戦闘するときはこの前見た、軽い鎧姿と槍ね。
この格好は僕の場合はほぼ、誰にも見せたことないんだよ。
だからどこかで言いふらさないでね。」
「はい。ほんとにきれいで、器用ですね。」
「また言うけど、俺に惚れるなよ。あはははは。
じゃ、そろそろ片付けよう。フィナーレも終わってるだろう。」