青い星と青虫と
結局、小夜は片付けを終わらせるとすぐに、クラスの終礼を受けて自宅へと帰った。
((人間でもそうでなくても、あのコのことは考えるのはよそう。
行事だし、イベントだし・・・ううん、何でもない。
お母さんも今日はお父さんと久しぶりに積もる話もできたみたいだし、うん、家族が幸せだったらいいんだもん。))
しばらくして、上機嫌の母親が例によってお隣へおかずをおすそ分けして来るように言いだして、小夜は俯いたまま隣の部屋のチャイムを押した。
「はいっ!入って。」
小夜は言われるままに部屋に入ると、おかずの入ったケースを差し出した。
「これ、いつものことだけど・・・食べてくださいね。」
そう小夜が言って立ち上がろうとすると、阿狼に両肩を掴まれてしまった。
「怒ってくれているんですか?」
「私が怒るとうれしいみたいな言い方。」
「うれしいです。
小夜さんがそれだけ私を気にかけてくれているということですからね。
でも・・・ちょっと困ったことになりました。」
「あのコとずっと公認でお付き合いでもするの?」
「そうなるかもしれない・・・。
『私が本物のルナドルートの姫なのよ』ってつぶやかれてしまってはね。」
「えっ!!
私以外に、お姫様はいたの?」
「詳細はわかりません。少なくとも、私のお守りする姫ではなかったのは確かです。
私の姫様はここにおられる姫に間違いはないですから。」