青い星と青虫と
小夜は顔を背けて声をあげて泣きだした。
「お願い、私に要求があるなら聞くから阿狼さんを自由にしてあげて。」
「だ~~~め。この人は私のお気に入りのお人形なんだもの。
そうねぇ、あなたが今ここで死んでくれたら、お人形として返してあげてもいいわ。」
「阿狼さんはお人形なんかじゃないわ。」
「そうね、オスの機能は正常なんですものね。あはははは。
触ったりキスしてると、感じるわね。」
「紫音さん・・・私をここで斬り捨てて。」
「小夜!目先のことで流されてはいけない。
あいつの様子を見ていて、気になることがある。
阿狼が好きで自分を王族というのなら、まどろっこしいことをせずとも阿狼とやることをやってしまえばすぐにこの世界が思いのままのはずだ。」
市狼もはっと気付いたように、
「あいつはこの世界の人間かもしれんが、王族じゃないんだ。
でも、待てよ。
だったら、どうして?
後ろで糸をひいてるやつがまだいるということか・・・」
「おい、偽物1年生!さっきからいいシーンばっかり見せてもらってるんでな、俺もムラムラしてきたぞ。
お礼に、俺も小夜をここで抱いて、おまえに見せてやろう。
ついでに俺が王となるすばらしい瞬間もな。」
「ええっ!!!紫音さん。そんな・・・あっ、いやぁ!!」
「何を考えてる!紫音。姫に暴力なんて。」
市狼が紫音を止めに入ろうとすると、紫音は市狼に剣を突き付けた。
「相手の黒幕もわからないこの状況で、白と黒の狼がいくら吠えても勝てるわけないだろ!
あちらはあんなに余裕をかましてくれてるんだ。
こちらは新しい王の誕生でも見せつけてやらなければ、勝てる望みなどない。
違うか。」