青い星と青虫と
市狼の言葉に小夜はクスクスと笑った。
「市狼さん、ごめんなさい。
敵を欺くにはまず味方から・・・だったの。
紫音さんは魔物本体が佐織さんを操っていたことから、女性思考を読んでたから小さな声で私にお芝居をするように指示してくれてたの。」
「まぁ、白狐が俺の言ったことを理解できていなければ、姫とひとつになって最終手段を得るしかなかったけどな。
姫もそこそこ感じてくれてたし。」
「なっ・・・こら、白狐言うな。
姫も未遂だからセーフって思うな。こんなハレンチ野郎のすることなんて許される行為じゃないって処罰してやればいいんだ。」
小夜は俯くと、紫音に低い声で言った。
「紫音さん・・・今倒したのよりももっと強い魔族が、この世界のどこかに潜んでいるんですよね。」
「ああ、俺の勘だと、器はルナドルートのどこかに隠れているんだと思うが、本体はおそらく・・・結界を出てあっちの人間界にいると思う。」
「やっぱりそうですか・・・。心臓を浄化して感じたんです。
いつもの洗濯物の香りが・・・いえ、お日様の香りだと思うんですけど・・・していたから。
これからもどったら儀式をお願いしていいでしょうか。」
「儀式?ああ・・・。今回は、俺が勝手についてきて、すべてぶっつけでこうなっただけだ。
本当に、ルナドルートすべての生命がかかってしまったら覚悟してもらったかもしれないけど、姫は生け贄じゃないだろう?
俺は魔王じゃない。たかが妖怪1ぴきだし、本職は戦士だ。
銀狼本家筋の筆頭のプライドはある。
俺のことで心をいっぱいにしてくれたなら、あらためて真剣に考えさせてもらう。
16才の姫。あせらないで、まずよく見極めなさい。」
「紫音さん・・・。」