青い星と青虫と
胸騒ぎな1週間
((あれから阿狼さんは佐織さんを操っていた魔物から受けた毒を妖精さんたちに解毒してもらって元気になった。
市狼さんは、ときどき人間の大人の姿になっては紫音さんの美容室に出入りしているらしい。
つまり、私も紫音さんのお店に出入りしているから知ってるわけで・・・。
私は紫音さんの過去に受けた呪い傷を少しずつ治してあげるのが目的なんだけどね・・・。
じつは、あの事件以来、私は阿狼さんと落ち着いて話をしていない。
学校に行くと、魔物の器になってた記憶がすっかりなくなった佐織さんが、あらためて会長ファンになってしまって、ちゃっかりと生徒会室に入り浸っている。
帰宅してからは、療養しているのか、疲れているのか、私に会いたくないのか、阿狼さんはいつもの裏庭の場所にきてくれなくなった。))
「私・・・本当に嫌われちゃったのかもしれないなぁ。
敵を前にして、あのときは真剣に紫音さんに王様になってもらおうと考えてしまったんだもの。
でも私は王女なんだから・・・非常時には自分の意思など持ってはいけないんだもん。」
そして学校は夏休みになった
小夜の両親は温泉に親子で行こうと予定したのだが、小夜は2人だけで行った方がいいと提案した。
ルナドルートのことやこっちの世界に潜んでいる魔物が自分を狙ってくることを予想すると、両親を巻き込むわけにはいかないと思った。
結局、小夜の母親はお隣の阿狼のところへ行って、小夜が留守番している間のことを頼むのだった。
「相楽さん、お仕事の合間に申し訳ないんだけどね、うちの小夜がきちんと生活してるかチェックしてもらえませんかねぇ。
あなたが見た目よりずっといい人なのは私はよく知ってるしね。、夜も小夜のつまんない話をだらだらと聞いてやってくれて感謝しているんですよ。
お土産はちゃんと買ってきますので、ここはひとつよろしくお願いしますね。」
「あ、あの私はかまいませんので、お礼とかお気づかいなく楽しんできてください。」