青い星と青虫と
小夜は笑顔がだんだん冷たさを帯びて氷の微笑と言ってもいいような目だけ怒っている表情に変わった。
「すごい取材力ですね・・・。感心しちゃいましたよ。中家先輩!」
「おわっ!!!バレてた?」
市狼が成人の化身姿にもどると小夜はがっくりと肩を落として俯いた。
「ごめん、ごめんね。
小夜ちゃんのお母さんに頼まれたのもじつは僕で・・・。
阿狼はね、小夜ちゃんのこと嫌いになったとか避けてるとかいうんじゃないからそんなに落ち込まないで。」
「もういいです。
今の市狼さんの説明でなんとなくわかっちゃいました。
阿狼さんは何か調べているのか戦っているんじゃないんですか?」
「あ、うん・・・そうなんだけどね。」
「私も行きます。」
「それはダメ!今、理由は言えないけどダメ。阿狼もダメと言っているし、僕もダメ出しする。」
「私に言えないことって・・・。
王女なのは名ばかりってことじゃないですか。
個別に敵を捜して倒す相談をコソコソしなくても、私を抱いてさっさと王になって倒しちゃえばいいじゃない。
その方が手っ取り早いんでしょ!」
バシッ!
「きゃ・・・っ!ううう。」
市狼は小夜の頬をはたいて、抱きしめた。
「姫は僕たち妖怪の生け贄なんかじゃないんだよ。
人間も妖怪も妖精もそれぞれに生まれついての役割というものがある。
王族からみれば、めがねにかなった生きてるものを人間に作り変えてしまうのも生まれついての能力だけどね。
作り変えられてしまう方にもそれなりの覚悟や役目がある。」