青い星と青虫と
小夜はこちらの人間主体の世界で育った16才だから、すべてが興味本位だろうと思っていた市狼はルナドルートの王族の娘というものに驚かされた。
「小夜・・・。うん!えらい!!よくぞ言った。
救うこと、それは学ぶことから始まる。
そうだなぁ・・・小夜ちゃんの担任の先生だったら面白そうだ。きっと。」
いつものように、小夜が眠くなったら講義は終了で、小夜は自室へともどり、市狼は阿狼の部屋へともどっていった。
朝になって小夜がごみ出しに出ても、やはり阿狼とは会えないまま時間は過ぎていった。
「はぁ・・・明日の朝にはお母さんたち帰ってくるなぁ。
電話で話した感じではすごく楽しそうだったし、いっぱい話を聞かされそう。
とにかく食材は買っておかないと・・・。」
夕方、小夜は紫音の美容院近くのスーパーへと出かけた。
あと3mほどでスーパーの入り口にたどり着くというところで、バイクを止めていた男が小夜の行く手を阻むように声をかけてきた。
「へぇ、けっこうかわいいな。
顔は合格だが、体はどうかな・・・ふふっ」
「な、何ですか!」
「いいから、こっちへ来い。
おまえに楽しい魔法をかけてやる。
王族をいっぱい産む魔法をな。」
「えっ?普通の人間じゃない・・・。
やだ、魔法なんて!」
小夜は紫音の店の方へと走ったが4mも行けないままに腕を掴まれた。
声をあげて助けを呼ぼうとしても声が自分の近くで魔法で消されてしまう。
「阿狼さん、助けて。・・・もうダメ。」