青い星と青虫と
阿狼と剣を交えたザキは市狼と紫音の姿を確認してそう言うと、置いてあったバイクに飛び乗り消えてしまった。
「おい、バイクに乗ったら普通は走るもんだろ!
なんだありゃ?」
市狼がそう怒鳴ると紫音が
「バイクに見えるおまえの修行が足りないってことだ。
あのバイクはテレポートの入り口にすぎない。
自力でテレポートするには魔力をそっちに使い過ぎてしまうだろうからな。
俺たちだって結界の境目を入り口にしてるのと同じことだ。」
「げっ・・・ツッコミで墓穴をほった。
小夜ちゃん、遅くなって・・・小夜ちゃん!」
小夜は3人の姿を見てほっとしたのか気を失っていた。
阿狼が小夜を抱きかかえると3人は紫音の美容室へと向かった。
小夜が目を覚ますと、紫音が阿狼と市狼に何か説明している声が聞こえた。
「王族と宮殿が機能しないとルナドルートの結界がどんどん弱ってしまう。
さっきのような魔族をたとえ倒せたとしても、複数の攻撃に対応できるほどの戦力はもう・・・。」
「今の戦力はもう小夜ちゃんを守ることに集中した方がいいということですね。
小夜ちゃんにはルナドルートの歴史をバッチリ教えたからきちんと説明すればわかってくれるよ。
あとは・・・」
「阿狼の気持ちだけ・・・だな。
姫を受け入れ、新しい王になるのは嫌か?
姫はおまえをいちばん気にいるのはわかっているな。」
「わかっているから困っているんじゃないですか。
私は姫が生まれたときからずっと見てきた。
姫をお守りする気持ちは誰にも劣ることはないと思っている。
でも、醜い身を姫に押しつけて王になるなど・・・。
それしか手段がないとしても、自分の手で姫を傷つけるなんてできない。
化身のままでは愛し合えないなど・・・え!?・・・小夜さん。」