青い星と青虫と
小夜の頭の中に声が響いた。


「つらいですか?私の実体はこのとおり人間の形ではありませんし、大きさもかなり違います。
人のSEXとは違って直接触れることはほとんどできないことはご存知ですね。」


「え、ええ。夢をみてる感じだって紫音さんが言ってました。」



「けれど、精神的な苦痛は歴代の王族の方々の日記など見ても一度は失神してしまって失敗に終わるようなのです。
だから、私はあなたに苦痛を和らげる薬を用意してきました。
薬とかいうと余計に心配になるというならあえて使いませんが。」



小夜は素直に阿狼の言葉に従った。
王族の生き残りである自分が失敗など許されないと思うのと、みっともない姿を阿狼の目の前に晒すのはとてもはずかしいと思ったのだった。


薬を飲んでから3分とたたないうちに、小夜の頭の中に霧がかかっているかのように感覚が遠くなっていくのがわかった。


((ぼんやりしてる・・・これなら苦痛はわからないけれど、はずかしいことは感じないわね。))


小夜がそう思ったのもつかの間、ぼんやりした意識の中に体を貫かれたような痛みが走った。


「あっああああああっーーーーー!」


((痛い、苦しい。体中を鋭い刃物で付きまわされているようだわ。
痛い、痛いよ!助けて・・・誰か助けて・・・))



小夜の声に応えるように


「もう少しだけ我慢してください。
私のためにもう少しだけ・・・がんばって。」



「あ、阿狼さん・・・ううっ・・・」



阿狼の声がして数秒もたたないうちに小夜の体の痛みはウソのように消え去った。
そして、今度は生まれて初めて感じるぬくもりが全身に伝わった。





< 95 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop