青い星と青虫と
蛇の墓場
阿狼は王宮のセキュリティカメラで小夜を襲った敵の姿を見た。
「大蛇か・・・。これは。」
阿狼はすぐに身支度をして市狼と合流するべく出かけようとしたが、剣と防具の重さに座りこんでしまった。
((くっ・・・この体にまだ慣れていないせいだ。
化身と変わらないつもりでいたが、完全に別物だ・・・。
そうだ!王族なら魔力があるはず!))
阿狼は王族のガイドブックのような本を読み始めた。
「重いもの、体が動きにくいときには・・・物や我が身に魔法をかけるとよい。
そうなのか・・・。
魔力が保てる限り、重さは感じなくなる・・・か。
剣を魔法剣にする方法・・・と。
自然治癒と浄化能力がある・・・か。
おお!運動能力は獣妖怪の5倍以上・・・なんという。
信じられない、こんな華奢な体で本当なのか?」
阿狼は早速、すぐにできることからやってみた。
装備品と自分に魔法をかけると、まるで何も身につけていないかのように全身が軽くなり、ずしりと重かった剣も鉛筆のようだった。
自分の手の甲に傷をつけてみると、1秒もかからないうちにスッと傷がなくなった。
そして、阿狼は市狼のところへと急いだ。
1分たつかたたないうちに市狼の前に立っていた。
「ほんとに・・・阿狼なのか・・・?そうだな。見た目すごく似てる。
目が銀色じゃないんだな。
なんか誇り高い狼族をひとり失くしてしまった気分だよ。」
「私自身、まだ自分が王族の人間になったと実感がわかなくてな。
アンチョコ見ながら、やってきたくらいだ。
それより、力を貸してほしい。
小夜が大蛇にさらわれたんだ。」
「なっ・・・!!それを早く言えよ。
よくそれで、お前は冷静に王族ガイドブックなんて読んでたものだ。」
「仕方ないだろ!装備つけたら重みに耐えられず、立つこともできなかったんだからなっ!
狼の体とは勝手が違いすぎるんだよ。」
「そ、そうなのか。」
「ああ。」