everlasting love~幾星霜の果て


「いや、ちょっとパン買ってくるわ」




立花律に話があるから、とは言えず、平気で嘘をついた俺に




「じゃ、先に行っとくな」




慶太はそう言うと、屋上に続く階段のほうに向かった。




――慶太に嘘をついたのは初めてだ。

中学のときから一緒だけど、俺と慶太のあいだには“嘘も方便”っていう言葉すら存在しない。

たぶん俺はこれから先、慶太にまた嘘をつくことがあるかもしれない。

親友の慶太にさえも話せない過去があるかぎり。




立花のクラスに着くと、俺はそのへんにいた女子に頼んで彼女を呼んでもらった。




「……そろそろ来るかと思ってた」




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